「……仕方ねえな。やっぱ、警察か」


ヤクザが警察に電話。
笑えねえ冗談だぜ。


成田の机の上の受話器を握ると、絆創膏を貼った少女は掴んだ傍から電話本体を抱き締め奪った。


「や、だ」


ポロポロと涙を溢して電話器にすがり付いた。


「おい、遊んでんじゃねえ!」


ビクッ


俺のどすの効いた声で泣いた少女が体を震わせた。


「電話寄越せ」

「や、」

「こんな厄介な荷物なんて背負えるか。どら、貸せ!」


ふるふると頭を振る少女から電話を奪った。



「お、ね、が、い」

「………」

「けい、さつは、きらい」

懇願するように真っ赤な眼で俺を見上げた。


「………」

「仁、元はと言えばおまえが連れてきたんだろが」

「………」

「おまえが面倒を見るべきだろう?」

「成田、てめえ」


勝手なことを言いやがる。俺にどうしろって言うんだ。



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