黄金時間が過ぎるまで〜もう一つの番外編

       †

「…鳴海君…鳴海君…起きて…」

…遠くで、誰かの声が微かに聞こえてくる…

「見回りの先生が来るぞー桂、何とかしろや」

「う〜ん、何とかね〜…あ、そうだ、こんなのどう?…鳴海く〜ん早く起きないと、キスしちゃうよ〜…やっちゃんが♪」

「おい!」

頭の上で、漫才らしいやり取りがされている様子が、視界に映った…

「お!すごいぞ桂、起きたわ」

「やっぱ、やっちゃんのキスが嫌だったんでしょう」

「てめ〜〜〜」

「…あの…先輩…ここは?」

動かしづらい口を開きながら、ぼやけた記憶をたどって行く…

「ああ…大丈夫、生徒会室だよ…」

長沢先輩が、優しく答えてくれた…

それから…自分が、丁寧に寝かされている状態を把握して…全てを思い出した。

「…先輩すみませんでした!里美さんは大丈夫ですか?あの人は、どうなりましたか?」

急いで起き上がると…視界の端に、背中を向けて正座をしている、里美さんの姿が目に入った。