黄金時間が過ぎるまで〜もう一つの番外編

…さっきから聞こえている耳鳴りがうるさくて…

校庭で部活をしていた生徒が自分に気づいて、何か叫んでいたけど良く分からなかった…

「…俺は、いつまでだって待つぜ?お兄ちゃん…」

男の声もどこか遠くて…

耳鳴りだけが、ひどく響いて…手すりをつかむ手が、汗でにじんで…立っているのが、難しく感じられて…

「鳴海君!しっかりしろ!!何やってんだ?!そんなヤツに踊らされてんじゃねーよ!!」

空を切るような鋭い声が、僕の薄れていた意識に活を入れた。

「…八崎…先輩…?」

ゆっくり首を曲げて見ると、真っ赤な顔をした八崎先輩と、真っ青な顔をした長沢先輩が屋上に立っていた…

「はぁはぁ…桂!鳴海君と里美さんを頼む!」

「はぁはぁ…OK!頑張れ、やっちゃん!」

大急ぎで、長沢先輩がこちらに近づいて来る…