黄金時間が過ぎるまで〜もう一つの番外編

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「…里美さん、試験どうでした?」

僕は借りていたものを返すために、里美さんに声をかけた。

その日は学期末試験の最終日で、生徒達は足早に帰宅していた。

「ケアレスミスの連発よ〜くやしい〜」

本当にくやしそうに、里美さんは荷物をバックにしまっている。

「鳴海君は?」

「まぁまぁかな…」

「そっか〜鳴海君、頭良いもんね〜クラス変わっても、勉強教えてね〜」

「自分で良ければ…あ、これ長い事お借りしていて、すみませんでした…」

カバンから紙袋を取り出すと、里美さんに返した。

「ああ〜いつでもいいのよ〜」

と言って、ほんわかと笑った。

「…大変面白かったです…特に『光の庭』が…」

「本当?うれし〜な〜、それ部長も好きって言ってくれたのよ〜」

先日…里美さんから、中学・高校時代に文芸部で書いた話が載っているという、小冊子を借りたのだった。