黄金時間が過ぎるまで〜もう一つの番外編

…恋人ですって?…そんな事、勢いで言ったかしらね…ふん!

「余計なお世話だわ…それより…あなたのお兄さん、ドラマに出てなかった?」

「…ええ、みたいですね。私は見ていませんが…ビデオがこの間、送られて来ましたよ。どうやら生きているみたいですね…」

興味はあまりない様子で、無表情に答えた。

「…ちょっと冷たいようだけど…結構いい演劇してたわよ?」

何で私がこの男の兄を、フォローしてあげなきゃいけないのかしらね?!

「…これぐらいは、言わせてもらわないと…兄の代わりに、頑張っているんですからね…」

そう言って、キレイに笑った…

「…それもそうね…」

この男の笑みが、作られたものだと分かっていても…それは潔くて…決して恨んでいる訳ではない事が分かった…

「…話は変わるのですが…この間、綾子さんから頂いた資料で、お聞きしたい事があるのですが…よろしいですか?」

「…何かしら?」

いつものように、ディナーは仕事の話題で汚されていった…