黄金時間が過ぎるまで〜もう一つの番外編

       †

「…本当にこんなものが、役に立っているのかしら?」

「ええ、大変に…いつもありがとうございます、綾子さん…」

密約を交わしてから、かれこれ三年は経っていたかしらね…

いつものレストランで、定期報告がデートを装って行われていた。

「そう、ならいいんだけど…計画の進み具合はどうかしら?」

「そうですね…正直、思わしくありません…『鳴海』を立て直すのが精一杯、といった感じです…」

珍しく気弱なムードを漂わせ、男はワインを見つめた…


…お父様から聞いた話は、本当のようね…

″『鳴海』は現在危ない会社だ…結婚は様子を見ながら進めるのが、いいだろな…″

…おかげで結婚適齢期を過ぎても怪しまれる事なく、この男に協力している状態だった…

全く…どうしてくれるの?!行き遅れたりしたら、呪ってやるからね…!!

「…本当にすみません…綾子さんの恋人の方にも、申し訳ないです…謝っておいて下さいね…?」

いらだった私の顔を見て、男は謝ってきた。