ジメジメした梅雨がようやく終わる。



お気に入りの傘も出番が少なくなって、寂しそうに玄関の片隅で息を潜める。



「優愛は愛されてるよね!!修人君にさぁ♪」



学校への道をゆっくりと歩きながら、親友の星川未来(ほしかわみらい)があたしに言う。



未来は可愛くて、優しい子。入学してすぐ仲良くなったんだ。



家も近かったからあたし達は朝は一緒に登校している。



「愛されてるとか、ウザイわぁ~。あいつ、めっちやベタベタしてくるし…」



本音のような本音じゃない気持ちで、あたしはそう言った。