【1863年】

「今日も平和ですね」

「そんな事言ってるのはお前だけだ…総司」

桜の木が囲む小道を2人の若い男が歩いている。
総司と相手の事を呼んだ男は、意地の悪そうな吊り目だがとても端正な顔立ちをしている。真っ直ぐで艶やかな黒髪も彼にぴったりだ。

総司と呼ばれたもう1人は端正な顔立ちの男より少し若く、中性的な顔立ちをしている。
日に当たると透けて茶色になる短い髪が爽やかだ。

「浪士共は最近大人しいですし…もう帰りましょうよ」

「気を抜くな。そして帰るな。
帰ったら今日の夕飯はお前だけ抜きだ」

「へ~…土方さんのくせに言ってくれるじゃないですか」

「俺のくせにってなんだ」

「そのまんまの意味じゃないですか」

「……」

今にも殴りかかりそうな土方と呼ばれた男

「総司…お前っ…」
(…血…?)

土方は自分の足に伝わる生暖かい感触にふと下を見る