澪「おっと!そうそう…」

バックから器用に書類やらなんやらを取り出しながら車を運転する澪

危ない運転の仕方ね…
こっちがヒヤヒヤするわ…

『はぁ』

呆れて溜め息を漏らした時

目の前に大きな影が迫って来た

『澪!!危なっ…』

叫んだ時には遅かった…
耳をつんざくような無機物同士がぶつかり合う音
体中に伝わる鈍い痛み

意識が遠のく…

『た…すけ…て』

痛みでショックを受けてる体に鞭打って、転倒し…原型も留めていないようなリムジンから出ようと手を空に掲げながら声を絞り出す。

『おねがっ……誰か…た…すけなさいよっ…!』
口の中に鉄の味が広がる。

自然と涙が零れ落ちる

『澪…』
彼女だけでもっ…

澪の体を外へ押し出す

…意識が…保てないわ
きっと頭を強く打ったのね…

『今まで…ここまでくるのに凄くっ…頑張ったのにな…』

悔しさで涙が止まらない

『最後…これが私のlastsongよ…』

…Lacrimosa dies illa
qua resurget ex favilla

小さく、でも美しく歌い出す

もう…駄目っ…


ゆっくり目を閉じる彼女の歌が闇に飲まれていく