「ち、近いよ。」

孝介と悠の距離は数センチほどしかなかった。

「言ってくれなきゃ、離れないよ。」

「…」

「言えない?」

悠の口から少し聞こえた。
「………ん」

孝介は聞き返した。

「もう一回、聞こえなかった。」

「…孝介くん、やめて」

すると、孝介はあっさりと悠を包囲していた自分のの手を壁から離して、耳元で囁いた。

「ごめんね。」