悠はこっそり佐奈のあとを追って人気の薄い階段まできた。 「っく。…っ。」 悠の耳に微かに聞こえた声を押し殺したような泣き声は佐奈だった。 「佐奈先輩。」 悠の声が聞こえたようで佐奈は涙を隠して振り向いた。 少し目が赤くなっていて泣いていた事は悟れた。 「なんだ。悠ちゃんか!どした?相談事でもあるの?」 「佐奈先輩…。」 「言ってみ?」 ひたすら笑顔で笑ってみせようとする佐奈が悠には痛々しかった。 「佐奈先輩、武先輩と喧嘩してましたよね…。」