ほら、拭けよと
翔平君がタオルを渡してくれる。
「あ…ありがとう」
顔が熱くなっているのがわかる。
「顔、赤いよ。風邪引いたんじゃない?」
自分のせいだと気づかないのかな。
ある程度拭けたところで、
翔平君は家の方へ歩き始めた。
「あのさ」
翔平君が口を開く。
「この前はごめん。そして
可愛いチョコをありがとう。
美味しかったよ」
また顔が熱くなった。
「ううん、いいよ。私こそごめんね。
食べてくれて嬉しいよ」
「うん」
そしてまた沈黙が訪れた。
「ねぇ、覚えてる?」
沈黙を破ったのは翔平君だ。
「俺たちが初めて会った時も、
雨が降ってたよね」
「あぁ……そういえばそうだね」
「喧嘩した時もそうだったなぁ」
「ふふ…確かに」
「それなら告白も、
雨の日の放課後にしてしまおうか」
軽々しく彼の口から出てきた言葉を
遅れて認識した。
「へ?今何て……」
翔平君は足をゆっくり止めると、
真っ赤な顔をして私を見つめた。
「……俺の心に決めた人は……。
卯月さん、貴女だ。
貴女が好きだ。こんな俺だけど、
付き合ってほしい」
凄く嬉しかった。まさか彼の
心に決めた人が私だっただなんて
夢のような夢ではないような気がした。
「喜んで」
私は笑顔で返事をした。
きっと彼と同じように、今
私の顔も赤いんだろうなぁ。



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