バレンタインデー翌日。
紗羅は満面の笑みで、私に歩み寄る。
「ねぇねぇ。昨日はどうだった?
ちゃんと好きな人に渡せた?」
「分かんない……」
沈んだ私を見て、紗羅は
不思議そうな顔をした。
「どうしたの?何かあった?」
「ううん、何もないよ。ありがとう」


その日からしばらく、
私と翔平君が
会話を交わす事はなかった。