学校に行く数時間前。
私は公園に寄っていた。
「あれ?卯月さん、おはよう」
振り向くと翔平君がいた。
「おはよ。どうして此処に?」
「どうしてって……。早起きしたから
寄り道していこうかと思って。
卯月さんは?」
「私もそんなところかなぁ。
考え事もしたかったし」
「そうなんだ。ねぇ、良ければ
俺と学校に行かない?」
「いいよ」
まだ学校が始まるまで
少し時間があるので、私たちは
のんびり歩く事にした。
「俺、昨日文月に告られたんだ」
前を向いて歩きながら、
翔平君がぽつりと呟いた。
「そう、なんだ……。何て言ったの?」
勿論結果は紗羅から聞いている。
「振った」
「どうして?」
「心に決めた人が出来たから……。
何度振られても
気持ちが変わらないはある」
そう言う翔平君の横顔は、
今までの彼と全く違う
真剣に夢を見つめる顔を
しているように見えた。
「そう……。私、翔平君の恋が
実るように応援してるからね」

