今朝は晴天だった。
だから私は、ろくにニュースも見ず
のんびり学校へ行ったのだった。
「あ、のぞ……あーっ!」
紗羅は朝から元気だ。
彼女は私を見るなり叫んだ。
「寝癖がついてる!直らなかったの?」
「うん、そうだよ。だけど、
そこまで叫ばなくてもいいんじゃない?」
冗談混じりに突っ込んだ。
「いや、だって。今日の占い、ヤバいよ。
希美って乙女座じゃん。
しかも今日寝癖ついてるじゃーん」
「もう、煩いなぁ。
そんなに言うなら見せてよ」
紗羅が隠し持っている占い雑誌を
私は紗羅の後ろから覗き込んだ。
"乙女座の貴方は今日、
落ち込む事があって気が沈んじゃうかも。
でも大丈夫。恋をしてない子は今日
マジで恋に落ちるチャンスかも!"
……はっ、そんな事。
「あるわけないじゃん」
今まで何度も占いを見てきた
自分の経験からの結果だ。

放課後、いつものように私は
紗羅の横を歩いていた。
「紗羅ぁ〜。約束破る気かー?」
他のクラスの、紗羅の友達。
どうやら紗羅は今日
友達と何かをする約束を
していたのだろう。
紗羅は学校に残り、
私は先に帰る事になった。
空を見上げると、
小雨がぽつぽつと落ちていた。
朝は晴れていたくせに。
傘を持ってきていない自分を
少しだけ恨んだけれど、
諦めて、濡れて帰る事にした。

小雨なんて束の間。
私が歩き始めてすぐ、本降りし始めた。
まるで神様が私を
いじめているかのようだ。
髪が徐々に濡れていく。
バッグの中身も、下手をしたら
濡れてしまうかもしれない。
それでも走る気にはなれず、
ずぶ濡れを覚悟でとぼとぼと歩いた。
髪が濡れた自分を誰にも見せたくなくて、
私は路地裏を通った。