それは冬の雨が降る放課後の事だった。
「うち、如月の事が好き……」
少女は少年に想いを告げていた。
真っ赤な顔をして、憧れの少年の
瞳を見つめて。
少年は一瞬だけ驚いた。
けれど、すぐに普通に表情に戻った。
「ごめん。俺は文月の気持ちに
応える事は出来ない。でも……
告白してくれてありが――」
「知ってたよ」
「え?」
「如月があの娘の事好きだって。
如月があの日、
学校に戻ってきたあの日から、
ずっとわかってたんだから。
女の勘をなめないでね?」
少年は唖然としたまま。
「うち……応援するから、さ。
頑張ってね……じゃあ」
少女は精一杯の笑みで、
その場を去ろうとする。
「ありがとう」
少年がそういうと、
少女は踵を返し、一粒の涙を
頬に伝わせた。