雨の日の放課後




翌日の夜、私は翔平君に電話を掛けた。
翔平君の声は心なしか、
沈んでいるようだった。
『ごめんね、卯月さん。
あいつは弥生悠太。前にも話した事は
あるんだよ、名前は言わなかったけど』
なんとなく覚えている気がした。
「多分覚えてる。あの体の弱い……」
『そう。あいつとは夏休みのあの日から
急激に仲良くなっていったんだ。
凄く気があって楽しい親友だったよ。
でも俺が不良をやめただけで、
あんな風になるなんて
思ってもみなかった。
あいつには心底呆れたよ……』
はあ……と翔平君のため息が聞こえる。
『でもいいんだ。卯月さんとかいるし。
俺、心強いよ。あいつもいつか
卯月さんたちみたいな
素敵な友達を見つけられたらいいなって
俺は思ってる』
私はただただ、うんうんと
相槌を打っていた。
そして心の中で願う。
悠太くんの幸せを。