視界に飛び込んできたのは、
翔平君が悠太に馬乗りして、
胸倉を掴んでいる姿だった。
こんな状況で笑うなんて、
悠太の精神はどうかしているのか?
「お前……昔より弱い……」
翔平君はか細い声でそう言った。
「お前……確かに弱かったけど、
ここまで弱くはなかった……」
「あああああああ!!!
俺の悪口ほざいてんじゃねーよ!!
どうせこのまま俺の事ころすくせに!
しねとか言うな!お前は……
お前は俺の親友だろぉっっ!?」
それは突然だった。
「薬か、てめぇ!?」
狂い始めた悠太に、翔平君が問う。
「うるせぇ、うるせぇうるせぇ!!
俺は一生不良なんだよ!
邪魔すんな!お前も不良なんだよ!」
翔平君は切なげな表情だった。
「……そこまで落ちたか、お前」
そして私がいる方を向く。
「卯月さん、警察と救急車を
読んでくれないか」
やっと私と目が合った時、
彼は今にも泣きそうな表情をしていた。