子どもを片腕に浮き上がる。
子どもは口から少しだけ、
海水を吐いて咳き込んだ。
(沢山飲んでなくて良かった……)
「僕、大丈夫!?」
不安定な水面で私は、
子どもに話しかける。
子どもは小さな声で、波に耐えながら
私に問いかけた。
「僕、死んじゃったの?」
私は子どもを安心させるように、
笑顔を作る。
「大丈夫、生きてるよ」
「怖いよぉ……お姉ちゃん……」
「大丈夫。きっと助けてあげるから」
子どもは、唯一の命綱である私に、
必死にしがみついていた。
私も、子どもを離さないように
必死だった。
だけど。
突如足に激痛が走った。

