雨の日の放課後




溺れる子どもめがけて、
私は青い海に勢いよく駆け込んだ。
人々の応援する声が聞こえる。
(絶対助けるから……!)
足がつかなくなる所まで、
弱い波に押されながら歩く。
海の水がお腹についた時、
突如子どもが見えなくなった。
沈んだのだ!
さっきより酷い悲鳴が響く。
私は無理矢理足を浮かせて泳いだ。
子どもは沈んでしまって、
水上からは見受けられないので
クロールで水中を覗きながら泳いだ。
意外にも深いところには
小さな魚が数匹泳いでいた。
その視界の先で、
ようやく人影を見つけた。
溺れた子どもだ。まだ浅いところにいた。
私はすぐ、海に身を隠した。
溺れた子どもを抱き留めるために。
潜った瞬間、心なしか
母親の叫び声が聞こえた気がした。