紗羅は何も言わず、
ただ静かに私の話を聞いてくれた。
私が話し終わった後、
紗羅は静かに口を開いた。
「うちと同じじゃん……」
「えっ?」
同じって、どういう事?
「うちもね、昔の友達によく嫉妬した。
あんたはうちのものなのにって。
全然そうじゃないのにね。
あの子に、自分の友達を
とられちゃう気がして……
友達にすら嫉妬しちゃう自分の心って
どんだけ小さいんだろって、
泣きたくなる時もあった。
多分だけど、希美もそれと同じ。
大丈夫だよ、希美。
うちは希美から、萩野っていう友達を
奪ったりしないよ。絶対」
そう慰めてくれる紗羅の表情は、
さっきの真剣な表情よりも柔らかく、
優しかった。
「ありがとう。ごめんね、紗羅」
ようやく謎がとけた気がした。
もし、紗羅に貰った答えが、
間違っていたとしても、
その間違いに気づくまでは
これが正しい答えだと思う事にした。