健太郎とは長い付き合いだけれど、
一緒にカラオケに来たのは初めてだ。
「じゃあ歌いますかねー」
健太郎がリモコンやマイクを準備してくれる。
「うち、一番に歌いたい!」
そう言ったのは、紗羅だった。
それから健太郎、如月君、私、紗羅
の順番で歌っていった。
「ず〜〜〜っと好きな〜のに〜
君は〜気づいてくれない〜の。
どうして?いつまでも君は
僕の傍で笑〜顔を浮かべる〜……」
健太郎がこんな恋の歌を歌うなんて。
男らしくもない気がしたけれど、
一途な少年の歌だったので、
少しだけきゅんとしていた。
健太郎の恋が叶う事を
純粋に願いながら――。

