「ねぇ、萩野!筆箱忘れちゃったから
鉛筆とか色々貸してよ」
「おっちょこちょいだなー。ほら」
「それは萩野も同じー」
最近この2人が一緒にいると、
僅かだけれど胸がちくちくする。
「……さん?」
この胸の痛みは何なのだろう。
「卯月さん?」
名を呼ばれて気がついた。
どうやら私はまた考え事を
していたようだ。
「どうしたの?」
如月君が心配そうに問いかける。
「ううん、何でもない!
で、どうしたの?」
「うん……あのね――」