――如月翔平の回想――

中学校に入学した頃。
俺はまだ純粋な中学生だった。
その時新しく出来た友人は
やや弱い不良気味な奴で。
ある学校が休みだった日。
不良気味なあの友人は
俺の家に大勢の不良を連れて
やってきたんだ。
「助けてくれ……翔平」
そいつは随分とやられていた。
その姿を見て怒った俺は、
絶対に許せないって思ったんだ。
だからそのまま、路地裏で喧嘩をした。
友人の仇をとるために。
意外とあっさりその連中は倒れた。
初めての喧嘩で自信がなかったのに、
俺は勝てたんだ。
友人はその時言ったんだ。
「ありがとう、俺のために。
俺、不良になりたいんだけど
この通り体が弱くてさ……。
俺を守ってくれない?」
俺はあの時しばらく迷ってたけど
ある夏休みの日に、
不良になるって決めたんだ。
友人がまた喧嘩でやられて、
俺に向かって喧嘩相手は叫んだんだ。
「おい、この前の仕返しをしに来たぞ。
てめぇ、不良じゃないんだって?
不良じゃねぇカスが喧嘩してんじゃねえよ」
負けた分際でこいつらは
何を言ってるんだ。と思ったけど、
俺はまたそいつらと喧嘩して。
そいつらの長が、消え入りそうな声で
俺に言ったんだ。
「強い……。その才能が羨ましい……。
俺たちの仲間になってくれませんか。
勿論貴方がボスです。貴方は強く、
何人もの不良を相手にしても
平気で全員倒してしまう。
是非俺たちを引き連れて、
他の不良共をやっつけてください。
俺たちも出来る限りの事をします。
俺たちの仲間になってくれませんか」
友人を守るための力だったが、
俺は何故かこの時、
こいつの言葉に誘惑されて、
そのまま不良になったんだ。
夏休みの事だったし、
それからも長い間あいつらと過ごした。
意外と大勢で一緒にいるってのは
不良でも不良じゃなくても
楽しいものだって気づかされた。