私の家のリビングで今、
私に傘を貸してくれた少年が
暖かいココアを飲んでいる。
「卯月さん……あの時も俺を怖がって、
顔、見てくれなかったよね。
不良……嫌い?」
如月君は心配そうな面持ちで訊いてくる。
「嫌いじゃないよ!ただ……
すぐに殴る印象があるから
殴られたくなかったというか……。
でも、如月君って不良だったのに
優しいよね。どうしてそんな、
優しい貴方が不良になってたの?」
こちらが質問をすると、
彼は一気に真剣な表情になった。
「知りたいの?」
それなりの事情がありそうだ。
「うーん…話したくないならいい。
無理して話してもらっても嬉しくない」
これは本心だ。なるべくなら
両者とも快く話す方がいい。
「いい。話してあげる」