どうしてか。
最近紗羅と慶太郎が仲良くしている時、
少しだけ微妙に胸がチクリと痛む。
よく分からないこの感覚が
この何日か続く。
ある日、思い切って紗羅に訊いてみた。
「ねぇ、紗羅。
紗羅って好きな人、いるの?」
紗羅は少しだけきょとんとしていた。
だけどすぐに笑って。
「いるよ」
そう答えた。
恐る恐る質問を重ねる。
「私の知ってる人?それは誰?」
紗羅は私の耳に、可愛らしい唇を
近づけて言った。
「如月だよ」

どうしてこの時、
こんな事を訊いてしまったのか
自分でもよく分からなかった。
でも、あの言葉を聞いて
胸いっぱいに安堵が広まったのは確かだ。
私、まさか………。
まさか、ね。