キリエはスプーンをテーブルに置き、洋服の中に隠しているペンダントのチェーンを引っ張り出す。


 ペンダントを首から外すと、ロケットを開いてクロードに中の写真を見せた。



「見て見て。これ、ちっちゃいころのクレドなんだよ。かわいいでしょ!」


 キリエは少しセピア調になってしまった写真を、自慢げに披露する。




 クロードはその写真の中にいる幼少期のクレドと、恐らく幼少期のキリエであろう少女を見て目を瞬かせる。



 確かにクロード自身から見ても、クレドの幼少期は少し自分に似ている気がした。


 気弱そうなハの字の眉だったり、サラサラの髪の毛だったり、どことなく雰囲気が似ていた。




 現在の彼からは想像もつかないような幼少期に、クロードは驚きと親近感を感じた。



「ぼ、僕も大きくなったらクレド君みたいになれるのかな」


 えへへと照れてみせるクロードに、キリエも笑顔で「なれるよ!」と言ってみせるが、第三者から見るとそれは天変地異でも起こらない限り有り得ない話である。



「きっとクロードもおっきくなったら、クレドみたいにカッコよくなるよ」



 キリエは笑顔でそういうとペンダントをまた首にさげ、洋服の中に大事にしまった。