少年は急にもほどがある提案におろおろとしてはいるが、実際に帰る場所も遠いのかはなから拒否はしなかった。



「ね、クレド。いいよね」


 当然だよね! と続きそうないい笑顔に、この男が拒否なんてできるはずもなかった。


 キリエと二人で静かに過ごす時間がなくなるとか、どうして会ったばかりの赤の他人を匿う必要があるのかとか、また面倒事が増えるとか、思うことは山ほどあった。


 けれども彼女の願いをかなえることに、喜びを感じているのがクレドだ。
 それでこそクレドなのだ。



「ああ、もちろんだろ」



 嫌な顔一つせずに優しく微笑む、それがクレドなのだ。