ファンから始まる


あたしはこの6人のことはみんな好きだが、その中でも特に巧が好きだ。

顔立ちはクールなのに、性格は明るくて、ムードメーカー的存在。顔立ちと性格のギャップが良い!!!ということを日夏理に話していた。

「でもあたしは、巧は好きじゃないな」
日夏理が言う。

「何で?」
「んー、何て言うか、顔立ちと性格のギャップがある人って好きじゃないんだよね。顔立ちからして明るい!って言う方が好きかな」
日夏理のこの言葉に、あたしは少し怒りを感じた。

「じゃあさ、日夏理は、悠翔が一番良いってこと?」
あたしが言うと、日夏理の頬がピンク色に染まった。因に悠翔は顔立ちからして明るい。性格も明るくて、テレビのバラエティー番組では常に巧と盛り上がっている。結果、周りも笑に包まれる。
「…」
日夏理は黙って頷いた。

「まさか…恋してる?」
まさかと思って聞くと、また日夏理は黙って頷いた。

「マジで!?」
あたし叫んでしまった。
「ちょっと!周り見なよ、萌!」
「あ…」
そういえばここ、カフェだった…。周りのお客さんがあたし逹の事を見ている。

「あ、あははははは…何でもないですよ、すいません…」
日夏理が作り笑いをしながら周りのお客に呼び掛けた。

「告っちゃえば良いじゃん。あたしみたいに、好きな人に会えない訳じゃないんだから」
あたしの好きな人とは、さっきも言った通り、巧だ。ただ3次元の人だからというわけではない。あたし自身も、何故なのかは分からないが、日夏理と同様、恋をしている。しかし、巧は既に彼女がいるのだという事や、二股疑惑までもがネットには載っている。根も葉もない事だが、あたしは信じてしまう。
あたしと巧は、日夏理のように知り合いな訳ではないし、コンサートにも行ったことがない。全く会ったことがない。
ただただ、ファンとして、テレビの前で、または雑誌の前で、応援しているだけの、平凡なファンの一人に過ぎない。

「そんなっ…無理だよ。悠翔にそんな気があるようにも見えないし…」
「何で?悠翔は絶対に日夏理の事、好きだと思う。だって、一緒にプリとるときに、ほっぺにキスされたり、抱き締められたりしたんでしょ?それは、日夏理が好きすぎて、無意識にやってる事だと思う。あたしも応援するから、頑張って告白してみなよ」
「うん、そうだよね…やってもないのに、無理だって決めつけるのは良くないよね…」
「そうだよ!だって日夏理のモットーは、『挑戦し続ける』事なんでしょ?」
「うん」
そう言って日夏理は微笑んだ。

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