「ぎゃっ!」

 悲鳴を上げて、佐奈田は仰向けに寝転んだ。

「そら! 立ち上がれ!」

「足がしびれて無理です」

「演歌の心をしれば足のしびれなんてなんのその」

「演歌? そんな無理だ」

 師範は再び、佐奈田の足の指をさわる。

「わあ、やめてー」

 と、佐奈田はまだしびれから復帰できなかった。

 師範は佐奈田をかまうのをやめ、じっと正座をして黙った。

 数分が経過した。

「どうだ、足の指をさわると早くしびれがなくなるだろ」

 と、師範が仰向けでじっとしている佐奈田に言った。

「さあ?」

 と、佐奈田は否定した。

「なに!」

「そ、そうですね」

 と、佐奈田は言って、立ち上がった。