Petit Bonheur *小さな不幸の先に*




「この間、急に思い出して翔太先輩のお店のケーキが食べたくなって



今日ならみんなの予定が揃うってなって来てみたんです!」



と嬉しそうに話す結衣。



後ろで俺を睨みながら警戒している西野は気にしないふりをする。



もう俺には結衣はただの後輩としか見れないんだよ。



今彼女よりも大切に思っている奴がいるんだから。



そう思って隣にいる結菜を見ると、彼女の姿はいつの間にか消えていた。



「……そうだったのか。今日はどのケーキにする?」



「うーん、ひとみは何にする?あたし、ミルクレープといちごタルトで迷ってるんだけど」



「私はもうここに来たら何にするか決めてきたの!先輩、フォンダンショコラ下さい!」



「分かった……西野たちは何にするのか聞いてるの?」



俺はすぐにでも結菜のところに行きたかったけどケーキを選ぶ結衣たちにどうしても行くことができなかった。