「え……?あの翔太さん、いったいどうしたんですか?」
結菜は俺の腕の中でアタフタしていてどうにかして逃げ出そうとしている。
そんなの誰がさせるかよ。
そしたら結菜はもうここには来なくなるんだろう。
何が何でも俺はそんなことには耐えられない。
「辞めんな。俺は結菜をもう二度と傷つけたりしないって決めたんだよ」
もっと強く彼女を抱き締めて、一生懸命伝えた声は自分でも情けないと思うくらい弱々しい声だった。
「私、ここを辞めたりしません。だからちょっとだけ離してもらえませんか?」
そう強く見つめてくる彼女を信じて俺はゆっくり彼女を腕の中から解放した。
頼むから、絶対辞めるなんて口に出すなよ。

