葉山 翔太《はやま しょうた》。
それが俺の名前。
そして自分の家は小さなケーキ屋【Petit Bonheur】を駅前で経営している。
「あれは……間違いなく結衣と野中さんだった」
アイツの名前を呼んでるくらいだ。
きっと今も何事もなく付き合っているのだろう。
彼女に恋をしていたあの頃は諦めることなんてきっとできないと思っていたけど
受験に追われ、新しい大学生活にバタバタしていて
彼女のことを考える時間がなくなって忘れかけていた。
そうやってまた彼女のことを思い出してしまったのがいけなかったのか
大学生初めての夏休み初日、いきなり俺に小さな不幸が落ちてきた。