私のそんな不安を余所に、どんどん女の子が勝也に近づいてきて、チョコを渡していく。
結局、まともに話すことなく、学校に着いてしまった。
廊下を歩いていると、教室の前で立ち止まった勝也が、私を見る。
「琴音、今日は一緒に帰れるか?」
「え?……うん!!」
いきなりでびっくりしたけど、すぐに元気に返事をする。
いつもは当たり前のように帰ってたのに、急に誘われたみたいで嬉しくなる。
「フッ、じゃあ終わったら校門で待ってる」
それだけ言うと、勝也は自分のクラスの教室に入っていった。
勝也の背中が見えなくなったところで、私も教室に入った。
教室中は、もうバレンタイン一色。
チョコの甘いにおいが充満している。



