Ib〜絵空事の世界〜




とても大きな絵画の前に出た。


長い廊下の壁を覆い尽くすほどの絵画。


描かれている絵はとても不気味で、こことは違う世界のような雰囲気だ。


イヴはタイトルを読んでみた。


《『???の世界』》


「読めない…えっと…」


チカッ…チカッ……ブツンッ


「え、なに?!」


イヴが読もうと思考を凝らしていると、突然辺りが暗くなった。


いきなり照明が落ちたようだ。


気がつくと今まで館内に流れていた優雅なBGMもいつの間にか消えていた。


「お父さん…お母さん…?」


イヴは暗闇の中に声をかけてみたが、返事は返ってこなかった。


もしかしたら遠くにいるだけかもしれない。


そう思ってイヴは耳をすましてみた。



ひた………ひた………ひた………




「……?!」


ここではありえない、素足でタイルの上を歩く音が聞こえた。



ひた………ひた………ひた………



足音はどんどん大きくなってくる。


「いや、来ないで…!」


たまらず、イヴは一階へと駆け出した。