「はぁ~お腹いっぱい」

お好み焼き屋から出ると、満腹になったお腹を擦る。

「お前はおっさんか」

おっさんで結構。

今は蒼甫先輩に何を言われても気にならないくらい、満足感でいっぱいだ。

でも、ひとつだけ気になることが。

「私が奢るって言ったのに、どうして先輩が支払いをするんですか?」

私が最後のクリームあんみつを食べているときトイレに立った蒼甫先輩は、そのときに会計を済ませたらしい。

普通ならなんてスマートでカッコいい男だと思うかもしれないが、でも今日はそうはいかない。何もかも先輩任せでは、こっちとしてはなんとなく腑に落ちない。

でもそれを先輩に言ったら、

「それを言うなら俺だって、後輩で従業員のお前に支払いをさせる訳にはいかないだろ」

と、うまく丸め込まれてしまう。