極上御曹司のイジワルな溺愛


その顔は怒っているのか、それとも呆れているのか。あやふやな表情に、困惑してしまう。

「勝手に決めるな。今出ていかれたら、俺が追い出したみたいで後味が悪いだろ」

そういうことか。

副社長の、自分可愛さの行為にはうんざりする。ほんの少しドキッとしてしまった、私の女心を返せ!

「後味が悪かろうが、私には何の関係もありません。副社長がここで暮らしているとわかった以上、私が一緒に住むのはおかしいんじゃないですか?」

「そうか? 俺は別に構わないけどな」

そう言ってニヤリをほくそ笑む顔は、何を考えているのやら……。

副社長が構わなくても、私は構うんです。

掴まれている手を振り解こうと試みて、あえなく失敗。どうやら遊ばれているらしく、振り解こうとすればするほど強く掴んでくる。

「ちょ、ちょっと……放してくださいっ」

「ここで暮らすって言えば、放してやる」

「だからそれは、無理だって言ってるじゃ……っ」

ありませんか──

副社長の力強い腕が腰に回され、彼の胸に引き寄せられる。その結果、最後の言葉は私の口から放たれることはなかった。