極上御曹司のイジワルな溺愛

まさか、自分の紹介のために出てきたわけじゃないよね?

そう思っていても次に何が起こるのかわからない私は、どうにもこうにも落ち着かない。

「先日新婦の梨加さんから、うちの里中に何かプレゼントをしたいという話を聞き、新郎の康生さんを交え三人で話をいたしました。その時の私の話を聞いた梨加さんがある提案を持ちかけてくださり、本日このような場を設けさせていただくことになりました」

さすがは蒼甫。今は副社長だけどMCの経験もあるからか、話し方が滑らかで美しい。

その立ち振舞に、目を奪われる。

……って私、こんな時に何してるの。蒼甫の落ち着いた口調に、感心している場合じゃない。

梨加さんからの提案って何?

蒼甫がどんな話をしたのかわからないけれど、梨加さんが提案したのなら、それほど驚くようなことではないのかも。

気持ちを落ち着かせるため深呼吸をひとつして、蒼甫の横顔を見つめた。

「おふたりの披露宴の場ではありますが、少々お時間いただくことをお許しください」

そう言った蒼甫が、パッと私の方を向く。

その顔がいつになく素敵で、どきりと心臓が大きく跳ねる。一瞬でその熱い瞳に吸い込まれ、周りが見えなくなってしまった。

「梨加さんからのプレゼントは、今日のこの時間と、俺と椛の未来永劫の時間だ」
「未来永劫?」

さっぱりわからない。

未来永劫とは、これから先の未来に渡る長い年月。いついつまでも──

という意味だったか。

いついつまでも……それってもしかして、プロポーズ?

ひとつの言葉が脳裏に浮かび、半信半疑ながらも驚き、目をあちらこちらへと泳がせる。

ほんとに? いや、まさかね。