極上御曹司のイジワルな溺愛

「ねえ、蒼甫先輩……」
「先輩じゃないって言っただろ、蒼甫って呼べよ」

間近にある形のいい唇が、吐息混じりに命令する。

「……蒼甫。どうして、あんなメールしてきたの?」

それに素直に聞き入れれば照れくささが顔を熱くし、少しだけ体を離した。

「椛は人一倍責任感が強いからな、またあんな目に合うんじゃないかと心配になる」

蒼甫はそう言って、もう一度私の体を優しく抱き寄せる。そのまま身を任せると、胸元に顔を寄せた蒼甫が溜息混じりに情けない声を出した。

「あぁ~もう! ダメだよな、俺。椛は子供じゃないってわかってるのに、目の届くところに置いておきたいと思ってしまう。大切すぎて、俺という箱の中に閉じ込めておきたくなるんだ。これってヤバいよな? 病んでるのか?」

蒼甫って、こんなこと言う人だった?

自問自答している姿が可愛くて、クスクスと笑いがこみ上げる。

「蒼甫は病んでないし、ヤバくもない。蒼甫のその気持ちには本当に感謝してるし、ありがたいと思ってる。でも……」

急に熱い感情が込み上げてきて、言葉に詰まってしまう。

「大丈夫だ、落ち着け。ゆっくりでいいぞ」

優しい言葉と共に、蒼甫の大きな手が私の背中を擦る。

いつもの傲慢さはどこにもない。幸せだけが私を包み込み、蒼甫の手のひらの温かさに速くなっていた鼓動は落ち着きを取り戻す。