極上御曹司のイジワルな溺愛

「では、よろしくお願いします」

キャプテンとの簡単な打ち合わせを終え、司会台へと戻った。

今日の森さんと溝口さんの挙式は、人前式で行われる。

人前式とは神様ではなく家族や友人など、お世話になった人達の前で結婚を誓うもの。参列者の皆様に向かって誓いを立てるということもあってか、人とのつながりやおもてなし重視できると人前式を選ぶ人も増えていた。

雅苑では披露宴会場と一体化している広いプレイベートテラスで挙げれるようになっていて、特に人気が高い。

「ホント、天気が良くて気持ちいい」

庭園が一望できるオープンテラスには、今日のゲストが続々と集まってきている。

披露宴会場の方から係の者がやってきて、私にコソッと耳打ちをする。

「揃いました。そろそろお願いします」
「はい」

深呼吸をすると、マイクのスイッチを入れた。

「本日はお忙しい中、また遠方から新郎康生さん新婦梨加さんの結婚式にご列席いただきまして、誠にありがとうございます。ただいまより新郎新婦が入場いたします。どうぞ披露宴会場入り口にご注目いただき、盛大な拍手でお迎えください」

新郎新婦が腕を組み、ふたり一緒に入場してくる。

途中溝口さんと目が合い、彼女の笑顔に微笑み返す。

おめでとう──

溝口さんのことでは気をもんでいたからか、普段より感動が大きいみたい。

ゲストと一緒に拍手で迎え、新郎新婦が所定の場所につくのを待ってマイクを握り直した。