私はここに、大学卒業後すぐ入社。
当初は営業職での採用だったが何故か社長に気に入られ、ウェディングMCを目指すことに。

会長と大学在学中からブライダルノウハウを勉強していた副社長に優しくも厳しく指導され、今の私があると言っても過言じゃない。

前にも述べた通り私とひとつ違いの副社長だが、学ぶ能力は雲泥の差。雅苑に必要なことならばなんでも勉強し、すぐに吸収してしまうから驚くしかない。大学でイベントサークルに入ったのも、その一環だと聞いている。

だから副社長、上司として、尊敬するところも多いけれど……。

「いかんせん、性格が……」

ポツリと呟いた言葉は私の隣に立っていた副社長の耳に入り、頭の天辺にゴツンとげんこつが落とされた。

「痛いじゃないですか!」

怒って副社長を見上げると、何が気に入らないのか仏頂面。

「ひとりでブツブツ、気持ち悪いだろう」

「気持ち悪いとか、もっとこうオブラートに包んだような物の言い方できないんですか?」

「オブラートに包む? 椛には何でもハッキリ言わないと伝わらないからな。これも俺の優しさだ」

なんて少し歪んだ感情を私に向け、無遠慮に高笑いした。