極上御曹司のイジワルな溺愛


「へえ~そっかぁ、蒼甫と椛ちゃん付き合うんだ。そっかぁ、残念だなぁ。うん、残念残念」

薫さんは腕組みをほどき歩きだすと、何度も“残念”を繰り返している。

でも薫さんそれって、全然残念そうじゃないんですけど?

いや別に、残念そうじゃないことが気に入らないわけではない。けれど何度も繰り返して言われると、面白くないと言うか傷つく?

それに薫さんの態度を見ていると、何かを誤魔化そうとして見えるのは私だけだろうか。

いつもどおりに見えても、時折見せる心ここにあらずの顔を私は見逃さなかった。

昨日の夜、里桜さんがいる前で私の肩を抱き「君に好意を持っている」はフェイク。どんな意図があってあんなことしたのかはわからないけれど、自分の本当の気持ちを誤魔化すことに何の意味があると言うのだろう。

ここはズバリと要点を突いたほうがいいんじゃない?

意を決し顔を上げると、肩を抱かれている蒼甫先輩の手を解いて一歩前に踏み出す。

「薫さん、里桜さんと何があったんですか?」

言ってしまった……。

人の恋路に首を突っ込むのは良くないことだとわかっていても、一度踏み入れてしまったら後、もう戻りできない。