極上御曹司のイジワルな溺愛



「……おはよう、ございます」

ダイニングを覗き込み、もう一度朝の挨拶をする。

「ああ、おはよう。朝食作っておいたから、さっさと座れ。今日は特別だ、ありがたく食えよ」

「ありがとうございます」

いつもの偉そうな蒼甫先輩に戻っている。

まあ昨晩も『うるさい、黙れ』と相変わらずだったか……と、気付かれないように小さく息を吐いた。

「今日は何時に出勤だ?」

席についた私の前に焼きたてのトースト置き、蒼甫先輩も目の前に座る。

トーストにオムレツ、野菜サラダとコンソメスープ。

冷蔵庫の中には千夜さんが作り置きしてくれている惣菜が入っていて、いつも朝食は和食と決まっていた。それなのに今朝は洋食なんて、珍しいけど凄く美味しそう。

テーブルの上に広がっている光景に、目を奪われる。

「おーい、椛、聞いてるかー?」

名前を呼ばれ我に返り、それを誤魔化すようにコホンと咳払いしてみせた。

「聞いてますよ。今日のひとつ目の挙式は十三時スタートなので、遅くても十一時までには入ろうと思ってます」

少し早口でそう言うと、「いただきます」と目の前にあるオムレツに手を付けた。