「お誘いは有り難いんですが、先約がありまして」
そうだよね。
だったら私も今晩は麻奈美たちと一緒に……そう言おうとして、里桜さんに向き直った。
「里中さんは?」
「あ、はい。私も……」
「椛は何の予定もない。あるはずがない。だから聞くまでもない」
「は、はぁ!?……」
蒼甫先輩の勝手な言い草に、言葉を失う。
そんな私を見て麻奈美は笑いを押し殺しているし、里桜さんは「そうなの?」なんて普通に聞いてくるから「あはは」なんて笑うしかない。
「蒼甫先輩、私の予定を勝手に決めないでください。里桜さんが信用するじゃないですか!」
「何が勝手なんだ? それとも何だ、何か予定があるとでも?」
「うぅ、それは……」
麻奈美とのことは約束じゃない。おじゃま虫、そのもの。
でもだからって「あるはずがない」なんて、それはちょっと言い過ぎじゃありませんか?
ジロッと蒼甫先輩を睨むと、その倍以上の眼力で睨み返された。