すると。タクシーの中からもうひとり、誰かが降りてくるのが目に入る。
「こんばんは。里中さん遠山さん、久しぶり」
「里桜さん!」
まさかの人登場で、麻奈美と共々驚きを隠せない。
「俺も驚いたよ。空港で偶然会ってさ」
「そうだったんですね」
蒼甫先輩の話に頷くと、小走りで里桜に近づく。
「新作のウェディングドレス、見てくれた?」
「はい。今回も全部素敵でした。特にオレンジ色のカラードレスは、雅苑のどの会場にもピッタリ」
「でしょ! 里中さんなら、そう言ってくれると思ってたわ」
里桜さんの笑顔を見ると、私まで幸せな気持ちになるから不思議。
彼女には人を惹きつける魅力がある。それがウェディングドレスにも表れているから、彼女の作るドレスは人気なんだろう。
「こんなところで話も何だから、食事に行かないか?」
「いいわね。里中さんと遠山さんも、どう?」
里桜さんにそう問われて、麻奈美に振り返る。