極上御曹司のイジワルな溺愛


「溝口さん。溝口さん?」

「え? あ、すみません。えっと、何の話でしたっけ?」

溝口さんは私の呼びかけに体をビクッとさせると、すぐさま作り笑いを見せた。

これは絶対に何かある──

そうわかったものの、どこまで首を突っ込むべきか迷う。

私は結婚式場の一スタッフ、深入りすべきではない。そうわかっているのに、性格上放っておけない自分がいる。

普段はにこやかな彼女なのに、何がこんな顔へとさせてしまっているのか……。

でも考えれば考えるほどわからなくなってしまい、自分の不甲斐なさに落胆する。

「里中さん?」

森さんが私の顔を覗き込み、心配そうな顔を見せた。

「ご、ごめんなさい。ちょっと考え事をしてしまって」

何やってるのよ、私。逆に心配させてしまうなんて……。

考えても答えが出ないことを、いつもでも悩んでいたって無駄というもの。今日は彼女の気持ちを聞く最後のチャンス。