極上御曹司のイジワルな溺愛


いつもと変わらないように、もう一度はじめからひとつずつ確認をしていく。

ふたりの出会いや馴れ初め、ご両親のこと。スピーチや余興をしてくれる友達のこと。

それらを聞きながら、溝口さんの様子をこっそりとそれとなく見ていた。

今のところは笑顔も見られるし、特に変わったところはないかな。新郎の森さんとも相変わらず仲がいいし、とんだ取り越し苦労だったのかも。

ふっと安堵の笑みを漏らし、話を次へと進める。

「余興がひとつ増えるとプランナーの遠山から聞いていますが、それ以外に心配事や困っていることなどはございませんか?」

進行表や資料を揃え顔をあげると、さっきまでにこやかなに会話していた溝口さんの顔から笑みが消えていた。

何──

私、何か溝口さんの気に障ることでも言った?

それなら森さんも表情が変わっているはず……と彼を見たが、さっきまでと特に変わったところはない。今も溝口さんに話しかけているが、彼女は心ここにあらずという感じで目を泳がせている。