極上御曹司のイジワルな溺愛



サロンの入口近くには、トルソーに着飾られたウェディングドレスにウェディングフラワー、ウエルカムボードやウェディングギフトなどが並んでいる。それを横目に前を通り抜け、奥にいくつかある個室の応接スペースに行く。

私は一番手前の個室に入り、最終打ち合わせのための準備を整え始めた。

今日のお客様は、二ヶ月後に挙式披露宴を挙げる予定のカップル。

本来MCとお客様は、基本一度しか打ち合わせをしない。それ以後は何かあれば、電話かメールかファックスで済ますのがほとんど。

でも今日のお客様はウェディングプランナーである麻奈美からの「もう一度だけ会って確認してくれない?」という依頼で、再度打ち合わせをする運びとなった。

麻奈美が確認してくれないかと言うように、実は私も新婦の彼女の様子が気になっていた。

「進行は、この通りでいいんだけどねぇ」

進行表を見て、細かいところまでチェックする。特におかしなところはない。

じゃあなんで彼女は、あんな不安そうな顔を見せたんだろう。

結婚式は人生の一大イベント。一点の曇でも、あってはならない

できることならば、晴れ晴れとした気持ちで結婚式当日を迎えてもらいたい──