私が確認したのは二人がこれからどうなるかだった。
私はどちらの家庭も知っているからどちらに引き取ってもらっても構わなかった。ただ、一つだけ分かっていた事がある。
「そうね……。私達が引き取りたいのはやまやまだけれど相手側の事も聞かなくてはいけないわ」
そういえば健一君は相手側の跡取り息子であり後は妹さんがいたはず。逆に美佐の方はお兄さんとお姉さんがいたけど、県外に住んでいる二人の姿はまだ見かけなかった。両家共に二人を可愛がっているそうだがどちらが引き取るか両家の間で一悶着ありそうだと思った。
だが相手側、健一の父親から意外な言葉が返ってきた。
「二人の好きなように決めさせてあげなさい
但し我々からは何も言わないように」
最後に強くそこを指摘すれば、両家でもない私に白羽の矢が立つ。私が聞いてこいと。
ガラリ
扉の音にも反応することなくベットの近くにある椅子に座ってぼんやりとしている結子ちゃんと、泣きつかれたのかベットにうつ伏せにして寝ている俊輔君がいた。
「結子ちゃん」
私は結子ちゃんのいる斜め前へと屈み小さな両手を握った。結子の視線はゆっくりとだが私へと移動した。
「お腹すいてない?」
何気なく聞いたそれに結子ちゃんは僅かに首を振るだけで言葉を発する事はなかった。
「ねえ結子ちゃん、聞いてくれる?」
もしも普通の人だったらこの子達を抱き締め優しげな言葉を投げかけるだろう。けど私はそんなことしない。その行為は偽善だ。
このままでは二人はきっと前に進めないだろう。
でも、美佐と健一の子供であるこの子達なら私の言葉をまっすぐに受け止めて、正しく進んでくれるはず。そう願いながら。二人を前に進んでもらうために私は悪者になってもいい。
それが今の二人を救うなら私は残酷な言葉を言うために口を開いた。
「結子ちゃんはお父さんの方のおじいちゃんおばあちゃんとお母さんの方のおじいちゃんおばあちゃん、どっちがいい?」

