あれから何時間経ったのだろう。

 両親の遺体から決して離れない二人を遺族の人達は困り果てていた。これから葬儀などで忙しくなってしまうのに。


 私は許可をもらい部屋へて入れば二人の遺体を見つめた。



 ねえ、美佐、健一

 あんた達なんで死んじゃったの。

 あんた達にはまだやらなくちゃいけないことがあるでしょ。

 昔言ってたじゃん、
 この子達は自分達の宝だって。

 そういって親友の私にあれだけ自慢してたじゃん。

 なのになに手放してんのよ。



 なんで、死んじゃうのよ。


 私は下唇を強く噛むけれど、涙を押さ込む事が出来なかった。




 もういい年こいてるくせに私は周りの目など気にもせず、ただただ亡くなった二人の親友に涙した。














 二人の死因は相手からの一方的な巻き込まれ事故。相手の運転士は即死だったそうだ。

 私が聞き付けた時には二人の方はまだ息があったそうだ。


 けど、この子達が駆けつけた時にはもう息をしていなかったそうだ。



 この子達は両親が息を引き取る瞬間までも見れなかったなんて、なんて可哀想なの。


 まだ小学五年生と三年生なのに……。





 宝だって言ったこの子達の心に、大きな傷を付けて二人は去ってしまうのね。




 残されたこの子達はどうするの?



 残され……あ……。

 私は部屋の外に出て病院内のソファーに座っていた美佐のおじさんとおばさんへ近付いた。


「おばさん……」

「あ……芳美(よしみ)ちゃん。今は学校の先生になっていたわね」

 さっきまで私もずっと此処にいたのに、おばさんの口調は今気づいたとばかりだった。いつも元気だったおばさんは美佐の死による悲しみなどが見るからに弱りはてていた。





「結子ちゃんと俊輔君はこの後どうなるのですか?」